要約すると・・・
- 仮想通貨も基本的に「需用と供給」のバランスで価格が決まります
- 長期的な視野で見れば、仮想通貨はまだまだ発展途上の通貨のため需要が高まる可能性が大きく、信用を失わない限り、大きく値下がりする事はありえないと考えられます。
- 各国の規制も重要な指針で、Bitcoinは、中国の取引所閉鎖という規制を受けて大きな価格下落を体験しました
仮想通貨の価格を決定するファクター
仮想通貨には貨幣のような実体がないため、その価値はどうやって決められているのか、不透明な印象があるかもしれません。デイトレーダー的な運用をするならともかく、仮想通貨を資産として長期的に保有する場合には、仮想通貨における価格変動のメカニズムを理解しておきたい所です。
仮想通貨も基本的に「需用と供給」のバランスで価格が決まります。株式などと同様で、取引所で売買された結果が日々反映されています。資産価値が認められれば買いたい人が増えて高騰し、将来性に不安があれば売られて値下がりします。買いたい人、売りたい人が多く存在しておらず、取引量が少ないと値動きは非常に穏やかです。
例えばオンラインカジノで利用されるエイダコイン(Ada・cardano)は、仮想通貨のなかでも時価総額は大きいですが1日の取引量を示す取引高Bitcoinの1000分の1程度です。なので、値動きが非常に穏やかで、1年間の値動きは1ADA=0.02ドル〜0.03ドルで緩やかに推移しています。
仮想通貨が大きく値を挙げるためには、大手取引所が取扱を開始することや国や大手企業がサービスへの導入を決めるなど、需要を伸ばしつつ、その需要を下回る供給量(売りたいと思う人)となることが必要です。
Bitcoinは10分に1度しかブロックが生成されず、その間隔でしか新しい通貨が生まれません。急激に買いたい人が増えても新しい通貨は急には生まれず、現在持っている人から高値で買うしかない状況です。近年、世界的にも仮想通貨の知名度が上がり、存在を知って買いたいと思っても高値で売ってもらうしかないという状況なので値が上がっているのです。
仮想通貨が値下がりする理由は?
長期的な視野で見れば、仮想通貨はまだまだ発展途上の通貨のため需要が高まる可能性が大きく、信用を失わない限り、大きく値下がりする事はありません。仮想通貨はその性質上、取引のセキュリティに問題が発覚すれば確実に信用を失います。また現状でも1000以上の仮想通貨があり、他の仮想通貨と差別化しなければ需要は高まらず、過剰に供給されれば当然値下がりします。仮想通貨としての品質を見極めることは大きなポイントとなります。
中には意図的に価格下落を起こす仮想通貨もあります。CentCoin(セントコイン)は2016年~2017年にかけて、分割と呼ばれるイベントを複数回起こしています。これはCentCoinの価値を半分にして、そのかわり所持する数量を一律で2倍にするものです。いかにも実体の無さそうなイベントですが、中長期の所持者を確保するひとつの手段ではあります。
半年~1年程度の中期的な運用を考える場合、無視できない要素が「各国からの規制」です。通貨管理をしたい各国政府は、独自性の高い仮想通貨をどう制度化するかで苦慮しています。日本国内でも、最近になって仮想通貨を取引対象として認可したり、課税のガイドラインが制定されてきました。仮想通貨の運営を認める動きはむしろ好材料ですが、露骨に規制されて値下がりを招いたケースも存在します。
規制の打撃を受けたBitcoin
Bitcoinは、取引所閉鎖という規制を受けて大きな価格下落を体験しました。中国当局が「仮想通貨Bitcoinの取引所を閉鎖するよう命じた」と報道されたのは2017年9月9日です。その日の午前9時~10時過ぎまでのごく短時間で売られ、一時7.3%の下げ幅を記録しています。このようなニュースが先行きの悲観を招き、値下がりにつながるのが仮想通貨のリスクです。ちなみに中国政府は2013年12月にも、金融機関にBitcoin取引の禁止を通達した事例があります。
長期的な運用を踏まえて補足すると、Bitcoinが初めて価格公開された2009年10月には円換算0.07円でした。それが2017年には50万円を突破しました。中国の規制ニュースで大幅下落しましたが、その後、2017年10月23日、Bitcoinから分裂する形で”Bitcoingold”が発表されると、Bitcoin自体の価値も見直され、60万円を突破しました。やはり各国政府の対応には注目すべきですが、長期的な視点では品質が決め手になる世界と言えると思います。