要約すると・・・
- ビットコインを含む仮想通貨は支払手段として定義されたことで2017年7月1日から消費税は非課税になっています
- 2017年9月に国税局によって仮想通貨の売買による利益には雑所得が適用されることが明言されました
- 仮想通貨の贈与税や相続税は公式に明言されてはいないが、株などの金融商品同様にかかるという認識を持っていて問題ないと思われます
仮想通貨の取引に税金はかかるのか
ビットコインをはじめとした仮想通貨はここ数年で急速に発達したため、各国政府でも対応が間に合っていない現状があります。日本も例外ではなく、仮想通貨全般を金品として扱うのか、どう課税するのか、まだまだ不透明な要素があります。この記事では国内で仮想通貨にどんな税金がかかるのか、現在わかっている範囲で簡潔にご紹介します。
仮想通貨国内課税のガイドラインは?
日本の国税庁のホームページでは、2017年9月6日に「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」を発表しました。これはいわゆるタックスアンサーで、ビットコインで稼いだ利益にどう課税されるか、その指針になるもので日本では初めて、明確に表明されたものになります。割と短い文言なので、すべて引用しておきます。
”ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。”
国税局HPより引用(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm)
以上です。これだけでも読むのに疲れますが、端的に言えば「ビットコインで儲けた分は雑所得」という事です。ビットコインは改正資産決済法で支払い能力を持つ、つまり物品の購入等に使用できるものとして定義されたので、食事券とか図書カードのような扱いだと思えばわかりやすいです。ここで明確に取り上げられたのはビットコインだけですが、その他の仮想通貨も、これに準じて解釈されるものと考えて問題ないかと思います。
仮想通貨に消費税はかかるのか
消費税については、2017年7月1日から非課税になっています。以前の税制では仮想通貨を「サービス」として扱っていたため消費税がかかりましたが、2017年4月施行の改正資産決済法で、店舗などで支払い手段にできる事が認められたため撤廃になりました。例えばお店で買い物をしたら、買った商品の消費税を既に払っています。そのうえ仮想通貨に消費税がかかると、税の2重取りになってしまいます。そのため消費税が非課税になったのはごく当然だと言えます。
仮想通貨に所得税はかかるのか
先述しましたがビットコインを含めた仮想通貨には所得税がかかることが国税局によって明言されました。所得税の中でも雑所得にあたり、他の所得と合わせて累進課税が適用されると考えられます。累進課税では、他の所得と合わせた総所得から医療費控除や生命保険控除などの各種控除を差し引いた課税所得を算出し、その金額に応じた税率が適用されます。
課税所得金額別税率
195万円以下: 5%
195万円超~330万円以下: 10%
330万円超~695万円以下: 20%
695万円超~900万円以下: 23%
900万円超~1,800万円以下: 33%
18,000,000円以上: 40%
年間(1月~12月)の利益が多ければ多いほど税率が高くなります。
また、源泉徴収を行う必要があるのかどうかですが、もしサラリーマンなら、仮想通貨売買を含めて、本業以外の所得が年間20万円以上の場合は確定申告が必要となります。20万円以下なら確定申告は必要なく、税所得税はかかりません。しかし、20万円以下でも住民税はかかるので、市区町村など自治体への申告義務が発生します。住民税は10%なので、現行の税制に照らし合わせてみると、仮想通貨の収益には制度上で最低15%の税金がかかることになります。
仮想通貨に贈与税はかかるのか
贈与税に関してははっきりと確実な情報は得られていませんが、そもそも贈与税は、個人間で「財産」を譲渡しあう場合に発生するものです。例えば親から教育費をもらったり、お見舞いとかお中元、香典などのやり取りには贈与税はかかりません。不動産や車やヨットとかでしたら明らかに「財産」として扱われるので、贈与税の対象になります。そして、株に対しても贈与税はかかります。所得税に関して雑所得が適用されたことは金融商品として見なされた面が大きく、この点を考慮すると株などと同様に贈与税はかかると考えられますし、相続税もかかってくると考えられます。
今後、仮想通貨による贈与・相続の事例が多くなってくればこの辺りも国税局によって明確化されると思いますので、引き続き、情報を追っていきたいと思います。