要約すると・・・
- 仮想通貨の広がりを受けて、法整備されたのが改正資金決済法(仮想通貨法)
- 改正資金決済法で国内で初めて仮想通貨が定義された
- 改正資金決済法によって利用者の保護を目的に仮想通貨の取引所は登録制になった
改正資金決済法(仮想通貨法)とは
2008年に仮想通貨の元となる論文が世に発表されてから約10年。今や仮想通貨は世界的な広がりを見せています。日本でも急激に仮想通貨が浸透してきていますが、この背景を受けてしっかりと整備を整えようと日本でも2017年4月に改正資金決済法(仮想通貨法)が施行されました。
改正資金決済法(仮想通貨法)は2016年5月に国会で可決され、2017年4月1日に施行されました。改正と記載があるように仮想通貨が広まっていく一方でこれまで仮想通貨に関する規則や法的な定義付けもなかったことから、元々あった資金決済法に仮想通貨に関する内容を加筆される形で改正されたのが改正資金決算法です。よく仮想通貨法と言われることも多いですが正式には改正資金決算法になります。目的は「利用者の保護」で仮想通貨を定義した上で、売買を行う取引所の登録制が導入されました。
仮想通貨の定義
これまで日本国内では仮想通貨が何なのか定義がありませんでした。これはどうでもよいことに思えて実は大変重要なことです。そして今回の法改正で仮想通貨は以下のように定義されました。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移することができるもの
引用:改正資金決済法 2 条 5 項
この定義に基いて仮想通貨は他の通貨同様に支払手段としての位置づけとなりました。これによって大きく変わるのが税金です。これまで仮想通貨の売買には消費税がかかっていました。しかし、他の通貨同様に支払手段として位置づけられたことで消費税が2017年7月から非課税になりました。
今回の改正ではあくまで消費税が非課税になっただけで仮想通貨の売買で設けたキャピタルゲインに関しては課税対象です。また、今後、支払手段を持つ価値としての見方が強まったため贈与税などに関しての整備も明確に定められると思われます。
改正資金決算法で取引はどう変わる
改正資金決算法でもうひとつの大きな変化が取引業者の登録制です。これによって仮想通貨取引の安全性が高まることが期待されます。マウントゴックスの事件が象徴するように取引所の運営状況が適切ではなく、ユーザーの資産が失う事態が何度も起きてきました。
このような事態が起こるリスクを減らすために 改正資金決算法の規則で以下の条件に満たない場合、取引業者は認められないことになりました。
①1,000万円の最低資本金を持つ
②純資産額がマイナスではない
つまり十分な資金力がないところは仮想通貨の取引所にはなれないということです。また、以下の規則も整備され、取引所が安全に運営されるように意図されています。
・名義貸しの禁止
・情報の安全管理措置
・委託先への指導
・利用者への情報開示義務化
・利用者の財産管理の義務化
これらの規制によって安全に整備されていない取引所がなくなり利用者の方々は安心して仮想通貨取引を行うことができるようになります。